読書メモ:2014年6月

未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 ティナ・シーリグ

 ”クリエイティブ”という言葉は、使い方によっては非常に浅いものになってしまう言葉だ。単に奇をてらうだけとか、ナルシストな欲求を表す言葉に。そういうものとは違って、本書において著者が”クリエイティブ”になるために提案していることやその具体例としてあげていることは、実際に重要なことだと思う。文化、知識、環境、資源、姿勢、想像力。そのどれもがかけてはいけないことだ。例えば、どこかでマシュマロチャレンジをやれば、その場がその瞬間から、がらりと変わるかといえば、必ずしもそうではないだろう。その場所に上記の考え方のいずれかが欠けていたなら、”クリエイティブ”な場の作り方としては失敗するんじゃないか。だから、単に成功事例を真似するんじゃなくて、もっと多面的なことを本書から読み取って、糧にしないといけないんだろう。

 

 

元気が出る俳句 倉阪鬼一郎

 非常に面白かった。俳句の選集は手に取ったことがなかったのですが、楽しく読みすすめられ、俳句に興味を持つようになりました。はじめにで、俳句は世界の困難さをがらりと変えるようなものではないけれど、人の心にちくりと針治療を施すようなもの、ということを著者が書いていました。実際その通りだなあと感じます。ひとつひとつの俳句をみていくうちに、こころが少しずつ晴れてくるような気持ちになりました。今後、この人のファンになってみようかな思うような俳句の作者を知ることが出来、生活の中に俳句の芽を作ってくれるような本でした。

 

 

孫正義が40年間語ってきたこと 孫正義語録製作委員会

 何を仕事にしているのか分からない人が書いた自己啓発書とは異なっていると思った。簡単な正解がない世の中で、孫正義が何をどのように考えているのかということを、のぞかせてくれる本だった。仕事をする際には、能力や技術とともに考え方や姿勢が重要だと思うが、本書は考え方や姿勢の部分をrefinementしてくれるような本だ。目標を立てること、考えを突き詰めること、組織の作り方、等々。また、折に触れて再読したい。

 

 

森を育てる技術 内田健一

 森の管理の仕方を学びたかったので手に取りました。一人の著者が、森にいく前の準備から、現場で必要なこと、基本的な機器の手入れや取り扱い方、そして森で仕事をするとはどういうことか、という哲学的なことまで網羅的に書いていて、非常に読みやすかった。ただ木を切るということでも、安全かつ効率的に作業をするために必要な知恵というものがあることを知れて面白かった。過去にプロでない人と森仕事をしたことがあるのだけれど、この本を読んでいかに危険なことをしていたかが分かった。ちゃんと勉強しなきゃ駄目だ。

森を育てる技術 [ 内田健一 ]

 

生きることを学ぶ、終に ジャック・デリダ

 後でまた何回も読む必要を感じる。それでも今の所の感想を述べるなら、デリダは”生”を強く肯定しているのだと思った。生きることを学ぶことはそもそも可能なのか。生きることを学ぶとは、死を学ぶこと。その学びをナルシシズムであると指摘するのは、その諦観をしてだろう。私達の生活には死が含まれているけれども、それでも今私達は生きている、生き残っている。私達が現に今生きて、生き残っているのだということ。それは死を忘れる過程ではなく、喪を宿し、見習い幽霊を生み出していく過程だとして。そしてそれは、生者の肯定だとして。

『中古』生きることを学ぶ、終に

 

自分で考えてみる哲学 ブレンダン・ウィルソン

 本書は「因果」についての考えの変遷によって、哲学がどう発展してきたか、という切り口で書かれている。今まで部分的には読んだことのある主張が、他の主張とひとつの流れのなかに配置されているのを読むことは、知識の整理に非常に役立った。こういう風な感じで色々な哲学者の主張を配置できるようになるまでには、根本的に質の違う学び方をしないといけないんだろうなぁと、哲学をやってる人ってすごいなぁと、ぼんやり思った。

 

 

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? 木暮太一

 前半部で、資本主義社会でお金を稼ぐとはどういうことなのか、を解説している。分かりやすかったけど、類似の内容で少し内容濃いめの本を読んだことがあるからかもしれない。後半部では 「自己内利益」を大きくすることが大切と説明。「自己内利益」という言葉は著者のオリジナルなのかな。「自己内利益」という言葉は、必ずしもキャッシュだけを意味していないというところが大切なんだと思う(キャッシュも含むだろうけれど)。これだけだとちょっと心もとないけど、もうちょっとしっかりした本と一緒に、年下の人に薦めたい本だなと思った。

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

 

(この記事は、以前、読書メーターに記録していたものです。)

 

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