読書メモ:2015年10月

人間の建設 小林秀雄、岡潔

 達人同士が対談をすると、こういう様子になるのかとワクワクしながら読めた。岡潔のいう”情緒”、という言葉の意味が「春宵十話」などをよんだだけでは分からなかったのだが、この本を読んでやっと飲み込めた。頭では分かるけど、心では納得しがたい、という気持ちになるとき、前者は理性で、後者は情緒なのだという(小我と間違えてはいけないが)。そういう意味で、人の基本として、また数学の基本として情緒が必要なのだという。そう説明されると、極めて普通のことをいっているだけじゃないかと、すっかり飲み込むことが出来た。

 

 

分子進化のほぼ中立説―偶然と淘汰の進化モデル 太田朋子

 生物の特徴ってのは”進化のゆえ”だね、と簡単に言ってしまったり、考えがちだけれど、本当にそうだというためには、きちんと筋道だった論証をする必要があるよね、と反省した。ほぼ中立説がでてくるまでの歴史と、ほぼ中立説にたったときに、色々な生き物のゲノムはどういう風にみえてくるかという構成の本書は、とても興味深かった。でもちょっと難しいところもあった。数学で表現されている議論を省いて、分かりやすくしようと普通の言葉で説明しているところが、あまりうまくいっていないんじゃないかと思う。

 

 

コミュニティ難民のススメ ― 表現と仕事のハザマにあること ― アサダワタル

 こういう生き方の人達もいるのかととても興味深く読めた。職業や職場はその人の同一性を、(少なくとも部分的に)規定するけど、職業や職場が世間一般からみると広範すぎてよく分からないものになった時、もしくはなる過程で、その人の在り方も同様に不安定になるということ。そのことの良い面、悪い面を経験者が語るという感じ。小さい子供に、”将来は何になりたいの?”、と問うときに前提する、仕事=単一の職業で表されるもの、という考え方は、随分頭の固いものであるという指摘には確かに共感出来た。

 

 

(この記事は、以前、読書メーターに記録していたものです。)

 

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