河内晩柑という果物

 

 熊本に引っ越してきて、スーパーでみかけた晩柑という果物。グレープフルーツほどは、すっぱくなく、みかんよりは甘くない。とても中途半端な味わいの果物である。あまりに中途半端で、もやっとしたので、この果物について調べてみた。

 

河内晩柑 – wikipedia

 

愛媛や熊本といった日本の一部でしか、作られていないようだ。特別な地域でしか作られない理由は、いまひとつ個性がはっきりしなくて、この果物の価値が分からないから、という訳ではなく、条件が揃っていないと育たない果物だから、という理由もありそうだ。

 

もう少しググってみようと思って、困ったのは、晩柑の学名がわからないことだ。wikipediaに載っている学名のCitrus maximaは、文旦のことなので、多分違うのでは?と思い、しばらく調べていると、晩柑の成分を人の健康に役立てるための研究論文をみつけて、そこで学名がわかった。Citrus kawachiensis、だ (1)。

 

学名がわかったので、Google scholarで検索してみると、全然論文がヒットしない。約50件だ。試しにグレープフルーツ (Citrus paradisi) で検索してみると、16,000件くらいヒット。晩柑は自分だけでなく、人類にとっても、まだまだ全然知らない果物であることが窺える。

 

 調べられていることというと、晩柑の成分を調べた研究があった。その研究では、晩柑の皮がグレープフルーツや、温州みかん、八朔、レモンよりも、オーラプテン (Auraptene) という物質を多く持っていることを示していた (2)。さらに、晩柑の皮から抽出した液が、脳の炎症や老化を抑制する効果を持つことを、動物実験で検討した報告が続いていた (1, 3)。人での検討も行われ、晩柑の皮による認知症の抑制効果がみられているそうで、晩柑を機能性表示食品として、売り出そうという動きも2017年には、始まっている (4)。晩柑の皮を使って、認知症の進行を抑える効果を持つジュース作り。

 

 オーラプテンという物質自体は、これまでにもいろいろな生理機能を持つ物質だと知られ、多くの分野での応用を目指した研究が盛んである。こちらの報道 (5) や、八朔がCitrus類の中でもオーラプテンを多めに持っている (そして晩柑は、それよりも多い!) という報告 (6) をみると、晩柑はオーラプテンを沢山もつ果物ということで、覚えておいても良いかも知れない。

 

 検索していると、晩柑の皮は、グレープフルーツと違って、フラボノイドが含まれていないので、高血圧の薬を一緒に飲んでいても、食べることができる、ということを掲載している記事があった。けれども (見落としているのだと思うが)、根拠としている論文やデータは、みつけられなかった。

 

 スーパーで流通してる果物でも、実は全然きちんと調べられていなかったものって、あるのだなということが、よく分かる晩柑。農林水産省の発表によると、八朔やいよかんなどの古くからある中晩柑類の栽培面積は減少してきているが、河内晩柑などの新しい中晩柑類 (デコポンなども含まれる) の栽培面積は増加してきているようだ (7)。中晩柑類は、地方ごとに面白いものもありそうだし、フォローしとくと意外と面白いのかも。中晩柑類の食べ比べとかも、そのうちやってみたい。

 

参考文献
(1) S. Okuyama et al., Auraptene in the peels of citrus kawachiensis (kawachi bankan) ameliorates lipopolysaccharide-induced inflammation in the mouse brain. Evidence-based Complement. Altern. Med. (2014), doi:10.1155/2014/408503.
(2) Y. Amakura et al., Characterization of constituents in the peel of Citrus kawachiensis (Kawachibankan). Biosci. Biotechnol. Biochem. (2013), doi:10.1271/bbb.130324.
(3) S. Okuyama et al., The peel of Citrus kawachiensis (kawachi bankan) ameliorates microglial activation, tau hyper-phosphorylation, and suppression of neurogenesis in the hippocampus of senescence-accelerated mice. Biosci. Biotechnol. Biochem. (2018), doi:10.1080/09168451.2018.1433993.
(4) 認知症予防に河内晩柑―愛媛県などと共同で特許申請― https://www.matsuyama-u.ac.jp/topics/topics-106099/
(5) 河内晩柑に多い脳内の炎症を抑える「オーラプテン」をとって認知機能の低下を阻止!
(6) K. Ogawa et al., Evaluation of auraptene content in citrus fruits and their products. J. Agric. Food Chem. (2000), doi:10.1021/jf9905525. https://365.college/kenko365_2792.html
(7) 我が国の中晩柑の概要 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/tpp/block/pdf/engei11.pdf

 

晩柑
     

 

Sponsored Link




 


コメントを残す